銀杏の木の下に立っている。 真下から真上を見上げると葉は陽葉散々としているが黄みがかったものは今か今かと旅立つ時を待っているかにみえた。 さらにその上には蒼天の空と筆で描かれたような鱗雲がいく条か浮かんでいる。 夏の暑さが弱まり秋風が吹きはじめている。 今一枚の葉がゆれ落ちて寂しい気持ちになった。やがて冬の冷たい風が吹きその頃にはもっと多くの葉が枯れ果てて散ってゆくだろう。 もしその日もここに来れば自分はきっとこう思うに違いない。 きびしい乾寒たる日々も、まだここに有って眼に映りえしものは、ただそれだけで尊く綺麗だと。 冬の街並みや自然、景色から緑が消えて閑散とした風景を色で表した作品です。